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佐野 雄一; 安倍 弘; 竹内 正行; 飯嶋 静香; 内田 直樹
Journal of Nuclear Materials, 493, p.200 - 206, 2017/09
被引用回数:7 パーセンタイル:56.46(Materials Science, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所事故に関連し、再処理に用いられる機器の代表的な材料であるSUS316Lについて、海水成分を含むHNO溶液中の腐食挙動に及ぼす塩化物イオンの影響を、線照射条件下を含め、調査した。HNOと人工海水(ASW)の混合物を用いて電気化学試験及び浸漬試験を実施し、高濃度のASWを含むHNO溶液では、カソード電流密度が増加し、均一な腐食が進行することを確認した。これは、HNOとClイオンとの反応で生成されるClやNOCl等の強い酸化剤によって引き起こされたものと考えられる。腐食速度は、HNO濃度が低い条件では浸漬時間とともに減少し、高い条件では増加した。線照射条件下では、上記酸化剤と放射線分解により生成したHNOとの反応によるカソード反応の抑制により腐食速度が低下した。
西谷 健夫; 杉江 達夫; 森下 憲雄; 横尾 典子*
Fusion Engineering and Design, 74(1-4), p.871 - 874, 2005/11
被引用回数:13 パーセンタイル:65.32(Nuclear Science & Technology)ITERの分光計測用の窓材としては2種類のロシア製溶融石英、KU-1とKS-4Vが候補になっている。KU-1はOH基を約800ppm添加することにより耐放射線性を高めており、逆にKS-4Vは不純物を極力少なくすることにより耐放射線性を高めている。ITERにおける窓の取付け位置の線量は数MGyであり、そのような線量領域の照射効果の温度依存性のデータはほとんどなかった。そこで、原研高崎研究所のCo-60線照射施設を用い、KU-1とKS-4Vの透過率変化を室温,100,200,300Cの4点において、10MGyの線量まで測定した。試料寸法は16mm8mmである。1902500nmの波長域で測定したが、400nm以上では有意な変化は見られなかった。KS-4Vでは100C以上においてほとんど温度依存性がみられないが、215nmにおいても70%近い透過率を保っている。これに対し、KU-1では温度依存性が大きく、高温ほど透過損失が小さいが、室温200Cでは215nmにおいて1%以下に減衰している。以上のことからITERの分光計測用窓材としてはKS-4Vが優れており、100C程度で加熱して使用すれば、さらに透過損失の増加を抑制できることがわかった。
則末 智久*; 貴田 祐介*; 増井 直樹*; Tran-Cong-Miyata, Q.*; 前川 康成; 吉田 勝; 柴山 充弘*
Macromolecules, 36(16), p.6202 - 6212, 2003/08
被引用回数:76 パーセンタイル:89.41(Polymer Science)インテリジェント材料として注目されている温度応答性を示すpoly(N-isopropylacrylamide)ゲルの架橋構造と収縮速度との関係を調べた。架橋剤を用いたモノマー重合法及び線を用いたポリマー架橋法により、架橋構造の異なる2種類のポリマーゲルを作製した。モノマー重合法で作製したゲルの収縮速度はポリマー架橋法で作製したものとほとんど同じだった。ところが、小角中性子散乱法や動的/静的光散乱法より、それらのミクロ構造は全く異なることがわかった。これらの検討より、モノマー重合法で得られたゲルは、ポリマー架橋法で得られたゲルの持つ凍結濃度ゆらぎに起因する不均一性に加えて、ゲル化過程で生じる架橋点の空間分布に起因するもう一つの不均一性を有することがわかった。
馬場 信一; 石原 正博; 相沢 静男; 関野 甫
JAERI-Data/Code 2003-003, 394 Pages, 2003/03
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の研究テーマの一つである「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する研究」として、材料試験炉(JMTR)を用いて第1次から第3次までの照射試験を実施した。本報告は、その第1次照射後試験で得た照射誘起寸法変化,熱膨張率,X線回折及び線スペクトルについてまとめたものである。
山内 通則*; 西谷 健夫; 落合 謙太郎; 森本 裕一*; 堀 順一; 海老澤 克之*; 河西 敏
JAERI-Tech 2002-032, 41 Pages, 2002/03
ITER(ITER-FEAT)真空容器内の中性子モニターの開発を目的として、12mgの二酸化ウランを用いたマイクロフィッションチェンバーとウランのないダミーチェンバーを製作し、性能試験を行った。基本性能として、MIケーブルを取り付けたダミーチェンバーの真空リーク率、チェンバー内の導体と外側容器の絶縁性能、50Gまでの加速度に対する耐性はいずれも設計要求条件を満たした。線に対する感度試験は日本原子力研究所高崎研究所のCoガンマ線照射装置によって行った。それによれば、ITER-FEATブランケット背後の環境で、線に対する感度は中性子に対する感度の0.1%以下と評価できた。また14MeV中性子に対する検出器の応答は東海研究所の核融合中性子源(FNS)によって試験した。その結果、20(室温)から250までの範囲で計数率と中性子束の良好な直線性が確認できた。遮蔽体がある場合の検出器応答は遮蔽ブランケットの模擬体を用いて試験を行い、MCNP計算の結果と良く一致したデータが得られた。それによると中性子の減速により検出器の感度は上昇するが、遮蔽体の変動による感度の変化は小さい。結論として、本マイクロフィッションチェンバーはITER-FEATの中性子モニターとして充分な性能を有することがわかった。
豊田 政幸*
JAERI-Review 2001-004, 494 Pages, 2001/03
平成11年度における研究炉での実験利用,照射利用を行った利用者(原研外を含む)からの成果の提出を受け、これを取りまとめたものである。
Wahyuni, S.*; 廣田 耕一; 箱田 照幸; 新井 英彦; 橋本 昭司; 川本 二三男*; 椋木 康雄*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 73(8), p.1939 - 1943, 2000/08
被引用回数:2 パーセンタイル:16.95(Chemistry, Multidisciplinary)塩化メチレンは、各種産業で使用され、かなりの分が最終的に大気へ放出され、大気汚染源の一つとなっている。従来、活性炭で処理されているが、コストが高いなどの問題がある。本研究では、塩化メチレンを100ppm前後含むモデル空気試料を調製し500ml容量のガラス照射容器に採取し、バッチ式で電子ビーム照射を行い、その分解挙動を調べた。その結果、1パス照射では分解率は線量を増しても65%位で飽和するが、低い線量率で間欠的に多重パス照射する方法によれば32kGyで100%近い分解率が得られることを見いだした。また、水を4ml添加して照射すると、1パス照射でも100%近い分解率が得られることを見いだした。本研究では、電子ビーム照射による塩化メチレンの分解及び上記多重照射効果並びに水添加効果のメカニズムも明らかにした。
豊田 政幸*; 小山 芳己
JAERI-Review 2000-004, p.398 - 0, 2000/03
平成10年度における研究炉での実験利用、照射利用を行った利用者(原研外を含む)からの成果の提出を受け、これをとりまとめたものである。
伊藤 彰*; 小原 建治郎; 多田 栄介; 森田 洋右; 八木 敏明; 佐藤 大*
JAERI-Tech 99-029, 36 Pages, 1999/03
核融合実験炉(ITER)の炉内遠隔保守装置に使用される電気コネクタには、10KGy/hの線環境下で、積算線量100MGy以上の耐放射線性が要求される。また、遠隔保守装置の保守時には遠隔操作による着脱性も伴わせて要求される。そのため、本コネクタは絶縁材にセラミックスを使用し、プラグにはボールベアリングを取り付け、ロボットによる着脱が容易となるよう配慮した。汎用ロボット及び6軸力センサを組合せた着脱試験の結果、円滑な着脱性が確認できた。また、線による絶縁抵抗劣化の原因は、試料表面洗浄後の絶縁抵抗測定及びEPMA法による表面元素定性分析結果から、(1)セラミックス中不純物の拡散もしくは価数測定、(2)セラミックス表面での炭素の付着のいずれかと推測された。今後、詳細に検討を実施する予定である。
豊田 政幸*; 小山 芳己
JAERI-Review 99-007, 528 Pages, 1999/03
平成9年度における研究炉での実験利用、照射利用を行った利用者(原研外を含む)からの成果の提出を受け、これを取りまとめたものである。
山中 三四郎*; 福田 正*; 沢 五郎*; 家田 正之*; 伊藤 政幸; 瀬口 忠男
IEEE Trans. Dielect. Elect. Insul., 2(1), p.54 - 61, 1995/02
被引用回数:12 パーセンタイル:67.69(Engineering, Electrical & Electronic)電線絶縁材料としてのエチレンプロピレンゴム(EPR)の照射劣化について、EPRに添加する充填材の濃度の影響を電気伝導度と超低周波分極の測定から解析した。これらの特性はEPRと充填材の界面に捕捉される電荷の挙動に依存するというモデルで解析できた。
C.D.Jonah*; 畑田 元義*
JAERI-M 93-248, 33 Pages, 1994/01
安定剤が存在しない金属イオン水溶液の線照射により生成する金属微粒子の凝集機構を調べる方法を見出すために、硫酸パラジウム水溶液を窒素飽和した後、線照射(11.2kGy/h,10kGy)を行った。照射後の溶液の濁度変化を可視紫分光光度計を用いて700nmにおける吸光度より調べ、また生成した固体微粒子の粒子径分布の時間的変化を動的光散乱粒子径アナライザーを用いて研究した。濁度は、照射後の時間とともに単調に減少すること、また、生成した微粒子の粒子径分布は400~800nmと1500~2500nmにピークを持つものであることがわかった。得られた粒子の密度は、バルク金属の密度よりも小さいものであると考えられる。硫酸パラジウム・硫酸銀水溶液についても同様の研究を行った。
広田 豊春*; 藤田 俊昭*; 数又 幸生
Japanese Journal of Applied Physics, 32(10), p.4674 - 4679, 1993/10
被引用回数:14 パーセンタイル:60.83(Physics, Applied)77Kで線照射したPbCl単結晶中に生ずる常磁性中心について研究した。gテンソル及び超微細構造の測定結果から、観測された常磁性中心のモデルとして、Pbイオンペアに電子が1個捕獲された型つまりPb中心を提出した。
小嶋 拓治; 羽田 徳之; 三友 昭市; 橘 宏行; 田中 隆一
Applied Radiation and Isotopes, 43(10), p.1197 - 1202, 1992/00
放射線滅菌の工程管理への応用を目的として、バッチの異なる市販透明ポリメチルメタクリレート線量計Radix RN15の基本的線量計特性を明らかにした。線量計の厚さ、紫外光吸収スペクトル及び放射線未照射時の吸光度のばらつきはいずれのバッチも小さく、従来のものに比らべ優れた品質をもっている。Radixは、湿度の影響を防ぐため袋に封入され使用されるが、照射中及び照射後の温度の影響を受ける。通常の使用条件下では、これらの寄与は5%以下と見積られた。線量応答曲線では、バッチにより特に高線量域でちがいが見られたが、いずれも0.5-50kGyの範囲でよい応答再現性が得られた。製造後3年経過した素子では、未照射時の吸光度変化は製造直後と比較して無視しうるほどであったが、25kGyにおける線量応答は、2%低い結果が得られた。
G.M.Qin*; 梶 加名子; 畑田 元義
JAERI-M 91-106, 114 Pages, 1991/07
多種類の官能基をある種の規則性を以ってポリマーに導入するために、アクリル酸とビニルピロリドンの多段・複合重合及び共グラフト重合の研究を行った。多段・複合グラフト重合においては、グラフト率-時間曲線及び第二段階のグラフト率はグラフト重合のモード及び第一段階のグラフト率に依存した。同時共グラフト重合では、グラフト率-時間曲線は、モノマー溶液中のモノマー比に依存した。10%KOH電解液中のグラフト膜の電気抵抗は、グラフト膜のグラフト率に依存するが、その挙動は、グラフト重合のモード及び第一段階のグラフト率に依存する。グラフト重合条件を定めるための予備実験の結果も詳しく述べた。
大野 英雄
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.60 - 63, 1991/00
被引用回数:5 パーセンタイル:53.87(Materials Science, Multidisciplinary)多種多様なセラミックスの利用が核融合炉開発において考えられているが、金属材料の研究の進展にくらべまだ多くの課題が残されている。本論文では、核融合炉開発で必要となる機能性セラミックスのなかで、材料設計研究室を中心として行っている研究をまとめた。主な内容は下記の通りである。1.機械特性にすぐれた低誘電損失セラミックス、2.トリチウム水蒸気電解用セラミックス、3.耐放射線性導光性材料、4.線照射下その場電気特性試験
斉藤 健司*; 細井 文雄; 幕内 恵三; 小石 真純*
Chem.Pharm.Bull., 35(5), p.2045 - 2051, 1987/05
セルロースを主成分とする多孔性微粒子にCo-線を前照射したのち、モデル薬物としてサリチル酸を溶解させたメタクリル酸アミノエステルと接触させ、グラフト重合により徐放性微粒子を調製した。未照射の多孔性微粒子はサリチル酸に対し吸着能を示さないが、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル酸ジエチルアミノエステル(DE)やメタクリル酸ジメチルアミノエステル(DM)をグラフト重合させると粒子内に薬物が包括された。包括量はグラフト率の増加に従って直線的に増加した。包括量とグラフトポリマー中のアミノエステルグループの数の比がグラフト率に無関係に一定値になることから、薬物はアミノエステルと塩を形成し粒子内に導入されることがわかった。また、このような系では塩の解離度が包括量及び薬物の放出速度に重要な役割を果たすことが明らかになった。
斉藤 健司*; 細井 文雄; 幕内 恵三; 小石 真純*
高分子論文集, 43(1), p.51 - 58, 1986/00
被引用回数:2 パーセンタイル:20.27(Polymer Science)酸化鉄ゾルで処理した多孔性微粒子に線を照射した後、アスピリンとメタクリル酸メチル混合溶液及びメタクリル酸メチルを接触させ、後グラフト重合による徐放性微粒子の調製を試みた。溶出試験は水-メタノール混合溶液を使用した。グラフト粒子からのアスピリン溶出量は、多孔性微粒子にアスピリンのみを吸着したときと比較して著しく増加した。粒子表面及び内部に酸化鉄を固定するとグラフト微粒子のアスピリン吸着量が増加した。グラフト粒子からのアスピリンの溶出は粒子内で重合したポリマーマトリックスからの溶出と粒子芯部に分散し微粒子のゲル障壁を通して溶出する2つの機構が混在した。酸化鉄含有微粒子における溶出速度はグラフト率の影響をあまり受けなかった。
佐伯 正克; 大野 新一; 立川 圓造; 東 直人*; 宮崎 哲郎*; 笛木 賢二*
J.Am.Ceram.Soc., 68(3), p.151 - 155, 1985/00
被引用回数:8 パーセンタイル:61.05(Materials Science, Ceramics)80keVD(D,D)イオン注入又はD(DO)を熱的に導入したシリカ中でのD原子の挙動をFT-IR及びESRスペクトロスコピーで調べた。80keVDイオンはシリカ中でOD結合を形成する。熱的に導入した重水素もOD基を形成する。重水素化したシリカを77Kで線照射すると、シリカ中に存在するOH結合と同様に、OD結合も切断され、H及びD原子を生ずる。熱的に導入したOD結合の切断率はOH結合の場合とほぼ同じであったが、Dイオン注入により生じたOD結合の切断率は非常に低かった。しかし、Dイオン注入したシリカを773Kでアニール後に測定すると切断率は著しく増加することが分かった。これらの結果はDイオン自身が作った損傷が線エネルギーの伝播を阻害する結果、OD結合の切断率を低下させているものと考えられる。
渡辺 信淳*; 小山 哲*; 吉田 康*; 岩崎 又衛
日本化学会誌, (12), p.1618 - 1622, 1978/00
フッ化黒鉛のCo-60線照射時の分解挙動は、フッ化黒鉛の製造条件による結晶性の相違、照射中の雰囲気により異なるが、何れの場合にも10rads以上で徐々に分解しはじめ、C/F比が増大するとともに試料(白色)は黒色に変化して行く。劣化により熱分解温度は低下し、酸素を含む官能基の生成が認められる。生成ガスはSiF,CF,CO,COFなどであり、SiFは照射用ガラス容器との反応により生じたものである。真空中の照射に対して最も安定で、Ar,O,Hの順に劣化の進行が早くなる。